美味しいのに満足感がないのはなぜ?
実家で暮らしていた時、晩ごはんの後に必ずお菓子を食べる習慣があった。
クラッカーだったり、せんべいだったり、みかんだったり。
晩ごはんの量が少ないわけではないのに、別の何かを食べないと収まりがつかなかった。
そしてお菓子を食べても、お腹が膨れても、なにか物足りなくて、家中の食べ物を探し回った。
家族全員がだいたいそうだったので、とくに何とも思っていなかった。
でも、大学に入って一人暮らしをするようになり、友人との食生活の違いを知ることになる。
どうやら家が変?
なんでみんなちゃんとご飯を終われるんだろう?
結婚して実家を出て、今は私が夕食当番である。
すると旦那が、食後になにかを食べたがるようになった。
あれ、これはデジャブ?
旦那の実家では、食後にデザートを食べることはあっても、幽霊のように家中の食べ物を探すことはない。
なんとか改善したいと思った。
料理本を読んでその通りに作った。品数も、主菜×1 副菜×2 汁物 に揃えた。
なのに、状況は変わらない。
そのうち、料理本の通り作るのが面倒になって(調味料を計るのが好きではない。塩と醤油以外の存在意義がよくわからない)
適当にするようになった。
ある時、有元葉子さんの料理エッセイにこんなことが書いてあった。
「いろんな味覚を出すと、身体が満足します。塩味だけでなく、苦味、甘味、酸味など意識して並べましょう」
ものすごく納得して、夕食に酢の物を出してみた。
すると旦那のお菓子を食べる頻度が減ったのである。
思い返せば今まで出汁と醤油の茶色っぽい味付けが大半だった。
母の料理も甘味と酸味は食卓には上ることが少なかったように思う。
これだけが原因なのかは分からないが、それからは副菜をなるべく違う味つけにするようにした。
といっても簡単なもので、醤油で和えるところを梅干しにしてみたり、甘酢にしてみたり、歯ごたえを出すためにナッツや豆を入れてみたり。(すべて有元葉子さんの本の受け売り)
話は変わるが、
自炊が続いた後でファストフードなどを食べたりすると、大変美味しい。
大変美味しいのだが、味がやはり手作りと違うのを感じる。
うまく言えないのだけど、四角いとうか、カチッと決まっているというか、味が口の中で広がるのが止まるイメージがある。
そして美味しいのに満足感が得られない。
ファストフードもまた味に多様性が足りないのかもしれない。
それを感じていてもなお、ファストフード店には月に1、2回のペースで訪れてしまう。